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2009年5月19日 (火)

『四川のうた』(たまには真面目に)

~語る映像。すごいよ、ジャ・ジャンクー~

とても地味に公開されていますが、非常によかった。『四川のうた』。

正直、そもそも中国に興味がない人が見ても退屈な映画だと思っていたし、ドキュメンタリー×フィクションという手法も「どうなの~?」と期待していなかったのですが、固定カメラ中心の映像と登場人物の語りがこれほど雄弁に半世紀にわたる物語を紡ぐとは!!

大手デベロッパーに売り渡され、50年以上の歴史に幕を下そうとしている成都の巨大国営工場「420工場」。その広大な敷地内では、約10万人もの労働者とその家族が、まるで一つの町に暮らすかのように生活してきました。工場の解体は、その“故郷”の消失を意味します。ジャ監督は、同工場で暮らした100名以上にインタビューを敢行。歴史背景や社会体制の説明は排除し、“彼・彼女ら自身の経験”だけを、プロの俳優4名を中心とする老年・中年・青年世代の登場人物数名にドキュメンタリー形式で語らせていきます。

個人的な思い出になりますが、北京にいた時、中国人は世代によって「中国の今・昔」に対する想いが大~っきく異なることに気付かされることが多々ありました。

外国人の我々にすれば、著しい経済発展を続け、良くも悪くも様々な話題を振り撒きまくる今の中国にすごいエネルギーを感じるでしょう?逆に、「改革・開放前、ましてや文革時代の中国なんてとんでもない!」みたいなイメージがあるか、と・・・。けれど実際、ご年配の方とおしゃべりすると、それはそれは懐かしげに「昔はよかった」バナシをされるんです。“集団・体制の中で守られてきた安心感”みたいなものがあったようで、「はい、皆さん。それぞれ頑張って生きてって下さいね!」って投げ出されてしまった現在の状況の方が厳しいんですね。

一方、若い世代は違います。ものすごい上昇志向です。「こりゃ日本、負けるわ」と何度思わされたことか・・・。

映画の後半で、若い女性アパレル・バイヤーを演じるチャオ・タオ(『長江哀歌』でも主演)が、印象的なセリフを言い放ってます。「両親のためにこの高層マンションを買ってみせる。高価だって分かってるわ。けど、絶対できる。だって私は労働者の娘だもの」。彼女、実際には私と同じ70年代生まれだと思うのですが、この心意気っすよ。今の中国を引っ張ってるのは。

『四川のうた』は、静かな映像と語りだけで、それぞれの世代間ギャップまで鮮やかに描き出しています。始めに「中国に興味のない人には退屈」と書きましたが、大きな社会のうねりがあの国の人々の生活にどんなドラマをもたらしたのか、それは十分に感じ取れる作品です。

さて、同作は中国で上映された3本目のジャ・ジャンクー作品(『世界』『長江哀歌』に続く)ですが、興行的には一番のヒットになったそうです。よかった、よかった。インディペンデント系は中国でも難しいですから。

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本国版チラシ(?)

ところで、今年もカンヌに『Spring Fever』(原題「春風沉醉的夜晩」)をコンペ出品しているロウ・イエ監督。ジャ監督と同じ“第6世代”の旗手と言われていますが、『天安門、恋人たち』での表現を理由に中国当局から「今後5年間の製作禁止」処分を言い渡されている最中。なのに、また出しちゃいました。もう、本国で活動する気はないのでしょうか・・・。その製作意欲、反骨精神は素晴らしいと思うのですが、私的には、ジャ監督の独自のスタイルを保ちつつも「インディペンデント系もアート系も、市場に組み込まれていくべき」とキワドイ反抗はしないスタンスを支持したいです。

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