~運命が導いた?!イーストウッドの集大成~
昨日、破産申請したことを発表した米クライスラー。こことゼネラルモーターズ(GM)とあわせて「ビッグ3」と呼ばれている自動車大手フォードが1972~76年に生産したヴィンテージカー、それがタイトルの「グラン・トリノ」です。
随分前から日本車に押されて衰退気味ではありましたが、世界的金融危機で、輪をかけて過去の栄光見る影無しのこの3社。これが俳優として参加する最後の作品と言っているC・イーストウッド監督・主演作『グラン・トリノ』の主人公が、元フォードの組立工っていうところからして、“いかにもイーストウッド”的な悲哀を感じるじゃあありませんか。
舞台は治安の悪さではお墨付きの“自動車の街”ミシガン州デトロイト。主人公コワルスキー(どうやらポーランド系アメリカ人らしい)は、家族からも疎まれている筋金入りの頑固オヤジです。自分がステアリングコラムを取り付けた「グラン・トリノ」を毎日磨き、日がな一日ビールをガンガンやりながら愛犬に話しかけ、至る所で人種差別的暴言を吐きまくる嫌われ者。息子はよりにもよってトヨタのセールスマンとなり、「ランドクルーザー」に乗って妻の葬儀にやって来るもんだから、いつもブルドッグのように怒りの沸点3度下くらいで唸っている。そんな偏屈ジイさんが、お隣に住むモン族の姉弟と心を通わせていくストーリーです。
・・・と、超簡略化してあらすじを紹介しましたが、女性は必ずアイメイクをウォータープルーフのものにして行ってください。パンダになります。さもなくば、夜道を人目に触れずに帰ってください。
今年一番泣いたかなぁ。『ミリオンダラー・ベイビー』もそうでしたが、イーストウッド監督作の哀しさって日付を越すんです。ほんま、勘弁してください。
ほぼ予備知識なしで観たので、てっきりイーストウッドを当て書きした脚本を使ったのかと思いきや、映画初脚本の新人が書いた作品を、ほとんど手を入れずに撮ったものだと知ってびっくりです。
というのも、映画の主人公と同様にイーストウッドも朝鮮戦争に従軍しており、長年暮らしているカリフォルニアにも劇中登場するようなモン族のコミュニティがある。そして、物語ラストの“落とし前”のつけ方・・・。「イーストウッドやなかったら誰ができんねん!」って思うような見事なはまりっぷりの筋書きです。
俳優人生のラストにこの脚本と巡り合ったということは、偶然、いえいえ、運命だったのかもしれませんね。
ところで、登場する「モン族」という人たち。我々中国が長い者の間では「苗(ミャオ)族」として通っています。
中国網(china.org.cn)より拝借
中国は貴州省など南西部に多く暮らし、国境を接するベトナムやラオスにも広く分布。ちなみに「ミャオ」というのは漢民族による呼称のため、呼ばれるのを嫌がる人もいるそう。インドシナ半島で生活していたモン族の一部は、ベトナム戦争時に共産主義をくい止める盾として米国に加担(利用されたというべきか)。サイゴン陥落後、共産主義政権から逃れるために米国に移住し、今でも二世三世がカリフォルニア、ミネソタ、ウィスコンシンあたりに暮らしているそうです。
そういえば、北京留学中にもラオス系アメリカ人の男の子がいたな、と今思い出した。ひょっとしたらモン族だったのかもね。以前、旅先のホーチミンで出会ったシクロ乗りも、サイゴン陥落の際に米国へ逃げる船に乗り遅れ、妻子と生き別れたって話してたっけ。それもコレと関係ある??・・・う~ん、アメリカ。ほんと、罪深いことやってるよ。
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